「このままでいいのかな」から「働きたい」に変わるまでに、いくつかのきっかけがあった。
専業主婦でいることが間違いだとは、思っていません。ただ、「このままでいいのかな」という気持ちが出てきたなら、それを無視しなくていいと思っています。
私自身、そういう気持ちがじわじわと積み重なって、ある日「やっぱり働きたい」に変わっていきました。何かひとつの出来事ではなく、いくつかのきっかけが重なっていました。
きっかけ① 友人の「なんで働かないの?できるわよ!」
「もったいないよ、あなたならできるわよ!」
友人に、そう言われました。パワフルな人で、遠慮なく言葉をくれる人でした。
正直、「もったいない」という感覚が自分にはまったくなかった。専業主婦の自分が何かを無駄にしているなんて、考えたこともなかった。
だから少し驚きました。あ、そうか。外から見たら、もったいないって見えるんだ。
その友人は、どんな状況でも自分の選択肢を自分で作っていく人でした。私がそこに選択肢があると気づいてもいなかったことを、当たり前のようにやっていた。
自分の目線だけで自分を見ていたことに、気づかされた気がします。
きっかけ② 「何のために生きていたのか」という言葉
身近に、長年専業主婦をしていた女性がいました。
子どもたちが自立して家を出たあと、彼女は燃え尽きてしまいました。「何のために生きていたのか」と呟いていた、と聞きました。
それを聞いたとき、他人事に思えなかった。
子どもが育ったあと、私には何が残るんだろう。家族のために毎日ごはんを作って、洗濯して、掃除して、でもそれが「当たり前」として消えていく。それだけの毎日が続いた先に、何があるんだろう。
専業主婦でいることへの漠然とした怖さが、そのとき初めて芽生えた気がします。
そして決定的だったのが、娘の一言でした。
「お母さんは、家事をする人でしょ?」
悪気はなかったと思います。それが事実だったから。
でも、その言葉がずっと頭から離れませんでした。
怖くなりました。この子の「お母さん像」が、このまま固まってしまう、と。
娘にとって「女の人はこういうもの」という将来像を、私が作ってしまっている。これでいいの?
押し込めていた違和感が一気に溢れ出した瞬間でした。
これが、動き出した一番の理由です。
それでも、怖かった
「働きたい」という気持ちが固まってきても、怖さは消えませんでした。
家事は回るのか。子どもが体調を崩したとき、どうするのか。夫は「当てにしないでほしい」と言っていた。私ひとりで、仕事も家のことも回せるのか。
「社会に出るのが怖い」よりも、「今の生活が崩れるのが怖い」という感覚でした。
動いてみて、わかったこと
東京都が運営している無料の再就職支援に行ったとき、面接の練習を初めてやってみました。
「あ、これならできるかも」と思えた瞬間が、そこにありました。
全部の不安が消えてから動く必要はなかった。怖いまま動いていたら、少しずつ景色が変わっていきました。
「このままでいいのかな」は、変わりたいというサインだと、今は思います。
きっかけは人によって違う。でも、その気持ちが出てきたなら、それを無視しなくていいと思っています。